赤色LEDが育毛を促進する!?
光治療とは?
LEDを使った光治療の一種でLEDは皮膚科の治療として以前から使われていて、傷を治したり、皮膚の色素沈着を取り除いたりするという面で一定の効果があるんです。
LEDに限らず、皮膚科では紫外線やレーザー光など、光を使った治療が一般的に行われていて、皮膚科以外でも高レベルレーザーを病巣にピンポイントで照射し、その熱で細胞を破壊する治療も行われています。
みなさんよくご存じのがんの放射線治療はその一例です。
また、低レベルレーザーも血行を促進したり、生体を活性化する効果があることが知られています。
そのLEDですが育毛美容クリニック「ミニベルクリニック」院長の小笠原正弘先生が育毛に効果があることを発見しました。
ナローバンド(幅の狭い波長)の赤色LED
LEDと言えば一般家庭でも使われていますがそれとはもちろん違います。
詳しいことは割愛しますが家庭用の照明は赤、青、緑の3原色が混ざっています。
毛が成長するために欠かせないのが毛乳頭細胞の働きですが、毛乳頭細胞は皮膚の下の比較的深いところにあるので、そこまで光を届かせるには波長の長い赤色光が良いのではないかと考えました。
家庭用の照明ですと、いくら光を当てても表皮のところで反射してしまって毛乳頭まで届かないのです。
実験はマウスから行われ、次に培養したヒト毛乳頭細胞に赤色LEDを照射する実験を行いました。
照射後の細胞からRNA (リボ核酸)を抽出し、その増減を調べたのです。毛の成長を促す物質は複数あるのですが、そのうち、HGF(成長期を長くする)、Leptin (成長期を誘導する)、VEGF-A(毛の再生を早めて毛包を大きくする)などの濃度が上がっていることがわかりました。
つまり、赤色LEDは毛乳頭細胞を刺激し、毛を増殖させる物質の分泌を促すことで毛成長が速まると考えられるのです。
ですがまだ従来の治療薬であるフィナステリド、ミノキシジルほどの効果はありません。
ただ、これらと併用して使えば効果が高まることは考えられます。
また、副作用のため薬剤を使えなかった患者さんにも使用できるという点も期待できます。
脱毛に使うレーザー光はエネルギー量が高いので、患部が熱を帯びて時に痛みを伴うことがあります。
また紫外線による皮膚治療も、量が多いと日焼けして水ぶくれが生じてしまいます。
しかし、赤色LED は肌がじんわり温かくなる程度で、日焼け、やけどの恐れはありません。こうした安全性こそが、赤色LEDの最大のメリットです。
そんなわけで、赤色LED研究はいまや、レーザー医学・医療分野の関係者からも注目を集めるようになっています。
ちなみに、LED はレーザーとは違って、かなり小型化することも可能なんです。私のクリニックではすでに小型の装置を使用していますが、他にも導入するところが増えているようです。
この先、例えば懐中電灯なみの器具が開発されれば、将来的には自宅で毎日照射できるようになるかもしれません。
テレビを見たり読書をしたりしながら育毛できる器具が誕生したら、普及が一気に進みそうですね。